染色とは、農業である。
藍も柿渋も、植物を育て、実りを待つところから始まる。材料にこだわろうと思っても、すべての作業を一人で行うことはできない。だからこそ、よい職人とつながる必要がある。では、よい仕事をしてくれる職人をどう見分けるか。長年の経験と勘だろうと思われるが、もう一つある。自分で作ってみることだ。自分で作ってみると、それがどんなに大変なことかもよくわかる。そうすることで、先達への敬意の念も深くなる。自分で作ってみることは、材料を知るいちばんの近道でもある。
藍染めには幾つかの方法がある。そのどれをやるにしても、多くの場合、はじめは畑で藍を育てなければならない。1996年、NHKのBSスペシャル「アジア染織紀行 藍と暮らす人々 ~中国・雲南省~」で、雲南省の山深い村に暮らす少数民族の藍染めを見たことがある。山に自生する藍(琉球藍の近縁種など)を採ってきて、自宅の庭の木桶で水に浸け、発酵させて染料をつくっていた。そうした地域もあるにはあるが、多くの地域では、まず畑で藍を育てることから始まる。
蓼藍は育てやすく、たくさん育つ。刈り取った葉をいったん乾燥させて発酵させると、保存性が高まり、各地への輸送も楽になる。そのことが、日本で藍染めが盛んに行われた理由の一つではないかと思われる。















